企画の背景

剣道愛好者は少年少女から老人まで非常に幅広い。
しかし、剣道に関する話題や情報は多く流通しているとは言い難く、剣道人口も徐々に減少している。その影響は、長い歴史と権威を持つ全日本剣道選手権大会入場者数の減少という形でも現れている。

このような背景から、インターネットを利用して剣道愛好家の大会に関する興味を向上させつつ、「剣道に関する話題」を作り、剣道の露出を上昇させて剣道愛好家ではない層に対しても剣道をアピールする必要性があった。

全日本剣道選手権を中心とした話題作りを計画

全日本剣道選手権大会は56年という歴史を持つ大会であり、テレビ中継が毎年行われる唯一の剣道イベントである。
全日本選手権大会に対する剣道家の期待は大きく、その結果をインターネット経由で調べる事に関するニーズは大きい。今回はこの大会を中心とした話題形成を狙った。

具体的施策

今回、剣道家による全日本選手権大会への期待を盛り上げると同時に、
剣道愛好家ではない層に対しても「剣道」をアピールできるようなWEBキャンペーンを実施した。

2008/9/16 「全日本剣道連盟YouTubeチャンネル」の開設

まず、全日本剣道連盟の公式チャンネルをYouTube上に開設。
55年前の第一回全日本選手権大会の映像を掲載を皮切りに、過去の貴重な映像を定期的に配信し、話題を喚起した。
また、各種メディア及び国内有力ブロガーに対してプレスリリースを行った。

55年前の貴重な映像 各種メディアでもとりあげられた

2008/9/16 全日本剣道選手権大会 ティザーサイト公開

YouTubeの開設と同時に、全日本選手権大会の特設サイトを構築した。9月に公開したバージョンは一部の情報のみが公開されているティザーサイトであった。
9月以降、情報を徐々に公開していくことによって全日本剣道選手権大会への期待と興味を盛り上げて行った。

デザインが剣道愛好家に話題に HTMLで必要な情報を提供

2008/10/20 全日本剣道選手権大会 サイト本格公開

歴史的トピックや、出場選手プロフィールを追加した。剣道の持つ「静」と「動」を随所に織り込むと同時に、歴史と文化を感じさせる工夫を随所にこらした。
歴史を感じさせる工夫として、第一回から現在に至までの優勝者写真を収集し、掲載した。優勝者写真を時系列順に並べ、画面遷移時に高速スクロールさせることによって大会と時間の流れを連想させた。

遷移アニメーション トーナメント
歴史ページの長さは10000pxを優に超えます

2008/11/3 全日本剣道選手権大会当日

試合結果のリアルタイム更新を行う。試合会場の日本武道館から、特設サイト内のトーナメント表をリアルタイムにアップデートすることによって、特設コーナーによる「実況中継」を実現した。
テレビによる放映は4回戦以上だけであるため、この「実況中継」を楽しんだ剣道愛好家は非常に多く、評価も高かった。

特設ページ ライブアップデート作業

2008/11/4以降~現在 2009年大会への布石

大会終了後は2009年大会に対する期待と興味を向上させる作りに変更することによって、特設サイトを最大限に活かしている。
具体的には、2009年大会当日までのカウントダウンスクリーンセーバーを配布、2008年大会写真の掲載、2008年大会の解説を追加、YouTubeチャンネルへの 新動画の定期的な追加などを行っている。

試合内容を写真・動画で スクリーンセーバー

結果

  • 特設サイト開設直後から、非常に多くの反響を得た。
  • 剣道愛好家のブログだけでなく、デザイン分野のブログや雑誌でも多数紹介され、幅広い層へのリーチを果たした。
  • 特設サイトは1ヶ月間で約30万アクセスを記録。
  • 実況サイトは当日だけで約9万アクセスを記録。
  • YouTube剣道チャンネルは約20万視聴を達成。
  • YouTube動画は国内だけに留まらず海外剣士からも注目された。
  • 当日の来場者は8000人を越え過去20年で最多となった。
    ※2日間にわたって開催された第50回(2002年)大会は2日間の平均で計算

今後も、インターネットを最大限に活用しつつ、剣道の普及に力を入れたいと思う。